「わたし、ユーフォがすきだ。」――黄前久美子はそう泣いて、己の人生と向き合った。
――そのとき、私は知った。
麗奈のつらさを。あのとき、あの子がどんな思いでいたのかを。
ネタバレ感想につき、未視聴の方は先に本編をどうぞ。
人は、なにかを「すき」になるのではない。
ぼくが水をやったのは、あのバラだもの。
ガラスのおおいをかけてやったのも、あのバラだもの。
ついたてで守ってやったのも、毛虫をやっつけてやったのも。
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』河野万里子訳)
音大行くつもりもないのに吹奏楽つづけて、なんか意味あんの?
私には、つづける理由がなかったから……
うまくなりたい…!
どれだけ練習しても、うまくはなれない。
それでも、巧くなりたい。
音大行くつもりもないのに吹奏楽つづけて、なんか意味あんの?
わたし、ユーフォすきだもん!
ユーフォ“が”すきであることを姉に抗言する久美子だったが
聞き入れられる余地も無く、ドアは閉ざされてしまう。
……わたし、ユーフォがすきだ。
そこで向かい合うのは、鏡に映る自分自身。
姉への反抗のときとはちがい、すこし怯えたようにことばを紡ぐ久美子。
このとき、久美子ははじめて自分との「約束」と向き合い、
「ユーフォがすき」な自らの生き様を受け容れたのだ。
きみの薔薇をかけがえのないものにしたのはね
きみが、あの薔薇のために費やした時間だったんだ
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』河野万里子訳)
今回ユーフォ視聴はid:y-shirabyoushiさまの記事に惹き込まれたことがきっかけでした。
素晴らしい作品に巡り合わせていただきありがとうございました。
「響け!ユーフォニアム」12話 「特別」の意味 - 白拍子なんとなく夜話
http://d.hatena.ne.jp/y-shirabyoushi/20150628
後記:「すき」という気持ちは、自分の人生に繋がっている。
生きる目的、興味の方向、すきなこと……
「すき」というしずかな熱情は、自分自身の楽しみがまずあって。
その先に繋がっているものなんだと思う。
だから悲しいけれど、「私」に興味を持ってもらえなければそれだけなのだと。
そういうことを考えていた。
“相手の時間に配慮していたらその人は相手を大事にしているが、相手の時間への配慮が足りなければ、その人は相手を軽んじている、かなりの場面でそのようにいえるでしょう”/相手から大事に思われているか、軽く思われているか、ここを見ればわかる!http://t.co/5jRr1A6iUl
— あんこ (@animencode) 2015, 7月 31
「きみの薔薇をかけがえのないものにしたのはね、きみが、あの薔薇のために費やした時間だったんだ」という言葉の対偶がhttps://t.co/qBbDn2rMhAこれなんだよね。
星の王子様の本質って残酷なんだなあ…
— あんこ (@animencode) 2015, 7月 31